汝とは、汝の食べた物そのものである
福岡伸一は、その著書「動的平衡」の中で、こう書いている。
「You are what you ate.
「汝とは、汝の食べた物そのものである」
こんな諺が西洋にある。食べ物の種類、つまり食環境が私たち生物のありように大きな影響を与えることを指している。
私たちの身体は、たとえどんな細部であっても、それを構成するものは元をたどると食物に由来する元素なのだ。」
この指摘からわかるように、私たちの身体は、私たちが食べてきた物でできているということです。
毎日の食事で何を食べているのか?
何を飲んでいるのか?
身体の中に取り込んだ物が、私たちの身体を日々、作っています。
このことからも、健康と食事の問題は切っても切り離せない関係にあるわけです。
また、身近な話題の中にも、血圧が高い原因は、塩分の摂りすぎが原因といわれたり、血糖値が高い原因は、砂糖の摂りすぎといわれるように、食事と病気との因果関係は、広く知られています。
ですから、食事について考えること、食事と健康について思いを巡らせることは、日常生活を快適に過ごすために欠かせない問題です。
私たちは、食べた物そのものになるのか?
私たちは、日々、鶏肉を食べ、牛肉を食べ、キャベツを食べ、大根を食べています。
では、私たちは、食べた物、鶏肉を食べれば鶏になり、牛肉を食べれば牛になり、キャベツを食べればキャベツになり、大根を食べれば大根になるのだろうか?
そんなバカなことはない、と、理由はわからないが、常識として、そうなることはないと知っています。
けれども、健康食品販売会社の、その手の広告、販売戦略には、まんまと乗ってしまうんですね、、、。
私たちの身体は、食べた物そのものである、食物に由来する元素からできている。
そう、食べた物の元素からできています。
タンパク質を例に取ると、タンパク質はその構成要素であるアミノ酸に分解されてから、初めて体内に吸収されます。
ですから、鶏肉を食べても、牛肉を食べても、タンパク質の構成要素であるアミノ酸まで分解されるわけです。
吸収されるのは鶏肉そのものでも、牛肉そのものでもなく、分解されたアミノ酸です。
このことが、鶏肉を食べても鳥にはならず、牛肉を食べても牛にならない理由です。
肌をスベスベにするタンパク質であるコラーゲンを口から、摂取しても、コラーゲンはアミノ酸に分解されるのであって、コラーゲンにはなりません。
同じように、膝の軟骨がすり減っているからといって、軟骨成分であるコンドロイチン硫酸を摂取しても、分解されるだけで、コンドロイチン硫酸が作られたり、軟骨成分が形成されることはないわけです。
鶏肉をたべても鳥にならないことはわかっていても、コラーゲンを食べるとコラーゲンができると思わされてしまいます。
賢い消費者である必要があるわけです。
食べることの意味
私たちは、なぜ食事をとる必要があるのでしょうか?
生きるために、栄養をとるために、そんな答えが返ってきそうです。
武村政春著「たんぱく質入門」(ブルーバックス)には、こう書いてあります。
「答えはすこぶる簡単である。
私たちの体もたんぱく質でできているからである。そして、たんぱく質にも寿命があるため、どんどん失われていくたんぱく質をあとからあとから、補給し続けなくてはならないからである」。
たんぱく質を補給するために食事をする、ということです。
なぜ、タンパク質を補給しなくては、ならないのでしょうか。
「私たち生物は、体内でたんぱく質を新しく合成することはできる。たんぱく質の材料である20種類のアミノ酸のうち、過半数を新たに合成することはできる。
しかし、たとえば私たちヒトは20種類のうち9種類のアミノ酸を、体内で合成することができない。こうしたアミノ酸は、食物として外部から取り入れなければならないのだ。これを「必須アミノ酸」という。外部から摂取することが生存に必須だからである」。
つまり、体内で合成できないアミノ酸を食事で補給しなくてはいけない、ということです。
もっと、突き詰めて言うと、食事とは、「必須アミノ酸を補給することだ」、ということです。
この必須アミノ酸をすべて含んでいる食品が、牛肉、卵、大豆、牛乳です。
これらの食品をしっかりとることが、健康には大切なことです。
ベジタリアンの方は、上手に大豆をとらないことには、体調に変調をきたすことが懸念されるわけです。
食べるのは避けたい食品
ここまで、人は、食べた物の元素から身体が構成されていること。
体内で合成することができない、必須アミノ酸を摂取することが、食事の意味であることを述べてきました。
それでは、身体に悪影響を及ぼす可能性のある食品はあるのでしょうか。
福岡伸一著「動的平衡」から引用します。
「食物の分子はそのまま私たちの身体の分子になる。それゆえに、もし、食物の中に生物の構成分子以外のものが含まれていれば、私たちの身体の動的平衡に負荷をかけることになる。それらを分解し、排除するために余分なエネルギーが必要尾となり、平衡状態を乱れを引き起こすからである」。
私たちの身体の構成物質以外のもの、これが、私たちの身体にストレスをかけることになる。
すなわち「有害物質」ということです。
「たとえば、ハムやソーセージ、弁当などに広範囲に使われているソルビン酸という保存料、これは細菌の増殖を防ぐ働きがあり、人間の細胞には直接影響しないとされている。しかし、食品に付着している雑菌を制圧するくらいなら、私たちの腸内細菌も制圧するということになる」。
このように身体の構成分子以外の物質が身体にとっての有害物質といえる。
このような食品添加物は、ほとんどすべての加工食品で使われている。
われわれにできることは、加工食品を買う際には、商品の裏を見て、食品の原材料を確認することである。
極力、食品添加物が使われていない商品を選ぶことです。
これども、ただこれだけのことなのに、食品添加物を使われていない商品をえらぶことがむつかしくなってきています。
私は、イタリアン料理を作ることが好きなのですが、その食材である「トマトの缶詰」にもPH調整剤が含まれています。モッツアレラチーズにもPH調整剤が含まれています。
PH調整剤を含まない商品もあるのでしょうが、手近に見つけることができないので、妥協して使うことにしています、、、。
極力、食品添加物を体内に取り込まないように、注意することが、私たちの身体に余計なストレスをかけない、ひとつの手立てになると考えます。
また、そのことが、諸々の病気から身を守る一つの手段でもあると考えます。
まとめ
私たちの身体は、食べた物の構成分子から作られていること。
食べ物のなかでも、必須アミノ酸を摂取することが食事の上で、欠かせないこと。
そして、食品添加物を極力避け、身体に余計なストレスをかけないことを伝えてきました。
このような、ささやかなことに気を配りながら、病気にかかることなく、健康で元気な日々を過ごしていきたいものです。
ありがとうございました。
*参考文献
福岡伸一著「動的平衡」(小学館新書)
武村政春著「たんぱく質入門」(講談社ブルーバックス)
