親指が曲がらない腱鞘炎

腱鞘炎

親指が曲がらない腱鞘炎とは?

親指が曲がらない腱鞘炎とは、その言葉のとおり、親指が曲がらない状態のままで、自力では親指を曲げることができない腱鞘炎、疾患です。

親指の「ばね指」とも似ているので、「ばね指」という診断を整形外科はするようですが、「ばね指」とは違い、やはり、親指が曲がらない腱鞘炎です。

MP関節(母指の中手指節関節・親指の付け根の関節)は曲がりますが、IP関節(母指の指節間関節・親指の爪の下の関節)が曲がらないのが特徴です。

指がはねる以前に、そもそも、指が曲がりませんから、これは、やはり「ばね指」とは別の疾患、腱鞘炎だと判断するべきです。

自力では曲げれませんが、第三者が親指を曲げてあげると、やはり、ばね指同様、強い「痛み」が出現します。

親指が曲がらない原因

腱鞘炎の原因のほとんどは、手・指の使い過ぎ。それも、ほとんどが、「握る」動作、グーする動作が続いたことが原因となります。

「握る」動作、グーする動作が続いただけなら、これは「ばね指」の症状を発症します。

親指が曲がらないのは、「握る」動作、グーする動作に加えて、「押し込む」動作が加わることで、引き起こされることが問診を重ねることで判明しました。

例えば、ドライバーを握ってねじ込む動作であるとか、ペンチを握って押し込む動作が続くと、親指が曲がらなくなってしまいます。

ドライバーを握ってねじ込む動作であるとか、ペンチを握って押し込む動作が続くと、その筋肉ばかりが作動しつづけることで、その筋肉に「コリ・ファシア」が形成され、親指が曲がらなくなってしまいます。

親指が曲がらない現象の解剖学的解説

親指を曲げる筋肉は、代表的なのは、「ばね指」の原因となる筋肉である、長母指屈筋です。

親指が曲がらないのは、親指を曲げる筋肉と反対の動作をする筋肉が邪魔をしているからです。

屈筋とは反対の伸筋群を罹患筋、「コリ・ファシア」のある筋肉と定めることができます。

前腕の浅い筋肉ですと「尺側手根伸筋」。

その深層に位置して、尺骨に付着している筋肉、長母指伸筋・短母指伸筋・長母指外転筋です。

また、これらの筋肉と、筋肉同士が連結している筋肉群のうち、特に深指屈筋へのアプローチも必要になってきます。

実際に、自分の手をグーしてみて、そのまま、机に手を押し込んでみると、これらの「伸筋群」がムクッと固くなり作動するのを感じ取ることができます。

伸筋群の基本的な動作は、グーの反対の動作、「パー」する動作なわけですが、パーする動作をしなくても、「押し込む」動作で作動することがわかります。

そして、この押し込む動作が続きすぎると、これら「伸筋群」に「コリ・ファシア」が形成され、親指を曲げようとしても、この「伸筋群」が動きを妨げ、妨害してしまうため、親指が曲がらなくなるわけです。

親指が曲がらない腱鞘炎になりやすい職業・動作

①ブローチ、アクセサリー、宝飾品を作る仕事。

②ドライバーやペンチを握りこむ仕事。

③バイクのハンドルを長時間握る動作。

親指が曲がらない腱鞘炎の治療

親指が曲がらない腱鞘炎は、親指を曲げる筋肉(屈筋)と親指を伸ばす筋肉(伸筋)とのバランス、力関係がくずれてしまったことが原因です。

このバランス、力関係がくずれてしまったのは、親指を伸ばす筋肉(伸筋)を使いすぎたために、そこにコリ・ファシアができてしまい、拘縮し、親指を曲げることができなくなったからだと、考えられます。

ですから、親指が曲がらない腱鞘炎とはいっても、その原因は、指・手の筋肉にコリ・ファシアが形成されたこと、筋膜性疼痛症候群のカテゴリーに入れることができます。

このコリ・ファシアを筋膜リリースすることで、回復していきます。

指・手の筋肉の始まり(起始)からお終い(停止)までを、丹念に触診し、筋肉上のコリ・ファシアを探していきます。

また、指・手を動かしてもらいながら、その動作がスムーズになるポジションを探していきます。

回復までには時間を要すると思われますが、少しずつ、少しずつ、スムーズに動き始めるはずです。

また、自分でできる筋膜リリースのやり方も指導しておりますので、自宅でもどこでも、思い出したら、一日に何度でも筋膜リリースを施してあげると、回復は、より速やかになっていきます。

親指が曲がらない腱鞘炎の症例

整形外科で手術をすすめられて

この方は、左手の母指が曲がらなくなり、また、母指の付け根(MP関節)に痛みがはしるということで、整形外科を受診したところ、腱鞘炎の診断を受け、「手術しかない」ということで手術をすすめられたそうです。

手術はしたくないということで、当院にご来院いただきました。

初診の問診でわかったことは、この方は、市内の移動はすべてバイクをつかわれるということです。当院にもバイクでご来院いただいています。

バイクのハンドルを握る動作と同時に、指を開く動作、パーする動作も運転中は伴うものです。その動作がしばしば続いたため、利き手ではない左手、弱い手が罹患してしまったのだと推察されます。

利き手の右手がも使い過ぎで罹患することもあれば、弱い手である左手に負荷がかかって罹患する場合もあります。

治療をつづけていくと、、、

腱鞘炎の続けていくと、確かに一番の原因となっているコリ・ファシアは手から前腕の筋肉の筋膜にあるわけですが、筋肉は連結していて、全身つながっているわけです。ですから、指・手ばかりではなく、その筋肉の連結をたどって、上腕(二の腕)さらには、体幹、背中までも視野に入れながら整体していきます。

すると、このかた、やはり腕の動きにも可動域制限があることがわかりました。

左腕を背中に回す動作、エプロンを結ぶ動作、いわゆる結滞動作に支障がでることがわかりました。

結滞動作を改善させる筋膜リリースをしながら、筋肉の連結をたどり、前腕の筋肉を筋膜リリースしていくと、ひとつのポイントがみつかりました。

そこを刺激しながら、曲がらないはずの母指をまげてもらったわけです。

すると、どうでしょう!

母指がカクンとまがってくれたのです。それも、自分の力だけで!

そのポジションが、長母指伸筋・短母指伸筋・長母指外転筋の起始部だったわけです。

この伸筋群をメインに、その反対の長母指屈筋、さらには、上腕の筋肉をも視野にいれながら筋膜リリースをしていくと、より効果的な整体となります。

完全に回復するまでには、それなりの時間を要する場合もありますが、諦めずに治療を続けてくださることを願っております。